Main Index >> Media Index >> Hail to the Thief Media | Japanese Media | 2003 Interviews
Radiohead



回 いうわけで、今回のフェスティヴァル特集号の特別企画、 「トム.ヨークと歩く下町」ですが、かなり変ですね、これ。 そもそもは、ここ数年、何かしら有意義なコンセプトがない と撮影は行わない、という姿勢をずっと貫き通しているレディオへッド。 そこで、「日本のカナリーウォーフって、どこだろう?」と考え、そこか ら発展していったアイディアがこれ。なので、当初は、今の日本の政治 の腐敗ぶりを象徴する、あの醜悪な六本木ヒルズでの撮影も考えたもの の、あまりにも頭でっかちすぎて面白くない。なので、バブル期のウォ 一ターフロント開発の一環として建造された高層マンションと、どこか 江戸情緒の残る町並みが同居する、とても不思議な場所一月島の佃に 出掛けることにしたわけです。ところが、彼らの宿泊してるホテルから 月島まで行くには移動に1時間近くかかることが判明。なので、以下の 会話はすべて、移動中の車内で行なわれたもの。でもって、今号はフェ スティヴァル特集号、あまりシリアス,トークになりすぎるのも何だな、 と思い、完全フリースタイルの雑談モードと相成りました。ただ、勿論、 話題はイギリスの古代遺跡から始まって、日本の自衛隊イラク派遣のた めの法案、スケープゴートになりつつある880レディオ4、東京ショッ ビング.ガイド、ベネズエラのチャベス大統領のドキュメンタリー、フ ェスティヴァル開催/出演の難しさ、原発の近くでのセックス、そして、 今後のライヴでのセットリストへと、かなりオリジナルなものになって います。それに、何よりも、トム,ヨーク自身の、普段着のヴァイブレ —ションが伝わるのではないかと思います。では、さっそく月島へ向け て、車を走らせてみようと思います。ブー。 ―1(1161^6奴灘 了冊财丫 001(6 籲でも、実際、メチャクチャなスケジュールだね。自分で無理やりお願 いしときながら、何だけど。 「うん、まあ、でも……日本に来ると、どうやったってメチャクチャだ から。じゃなかったら、ただ座ったまま、最悪な気分になっちゃうし。 それで終わり。だから、こうやってる方が起きてられるんだよ。ま、多 分ね(笑)」 參これから行くのはね、かなり変な場所で。だから、楽しいかどうかは ちょっとわかんない。 「堵頭なんだよね?」 春そう。すごい古い場所で。東京って、二回の震災と、空襲に遭ってる んだけど、そっから全部免れた場所だから、ちょっとした江戸の感じが 残ってるんだ。 「そうなんだ?ワオ(笑)」 春それと、俺が育った大阪の住吉区って場所に、大きな神社があるんだ けど、そこから移ってきた人達が暖簾分けした小さな神社もあって。 「神社の暖簾分け?閣の異端派、みたいな?」 9 (笑)いや、徳川家庚っていう江戸幕府のトップの人間が、大阪の漁 師を40人ぐらいと、神社そのものを全部東京に連れてきちゃったんだよ ね。東京はその頃、日本の首都じゃなくて、大阪が首都だったからね。 「ほんと?」 參うん(氺勿論、勘違いです)。 「僕も知ってたけど(笑)。いや、大阪が首都だったのは知らなかった」 鲁京都が最初で、次に大阪になって、最後が東京。 「京都は知ってたよ、ほんとに」 參でも、その辺りは昔ながらのすごくいいフィ一リングの長屋があった りするんだよね。ただ、勿論、古い町並みが残っているっていうのは、 産業的には取り残されてもいくってことだから、ちょっとひなびた感じ もある。と同時に、その周辺は、あまり趣味がいいとは思えないバブル 期の高層ビルと、また無意味な再開発が続いてて、全体としては、かな りビザールな光景になってる。 「クレーンとかだね。うん、僕が党えてるのは……大阪って、すっごく モダンだよね?大阪って、僕がこれまで見てきた街で一番、『メトロボ リス』に似てるんだ。中心のセクションが全部、ああなつてて」 8110026^039 53

5!111111161,50111相 2001 III 7011X0,51111(13ず 3 111191151; 11^ 春そう、大阪って、元々城下町だから、敵が攻めてこれ ないようにわざと道が入り組んで作ってあるんだよね。 「途中で迷っちゃうように?(笑)攻め込んでる途中に、 「あれ?』って感じで?(笑)」 春ほら、特に、京都が碁盤みたいだったから。 「ああ、パリなんか放射状だから、どっからでも戦車で 乗り込んでいけるもんね(笑)」 鲁ねえ、昔、ジュリアン,コープが害いた遺跡の本を読 んで、ストーンヘンジ(氺イングランドの先史時代から あったと言われている古代遺跡)を、いくつか見て回っ たって首ってなかったっけ? 「うん。それに、ああいう地域に行けば、(遺跡に)偶然、 遭遇することもあるんだ。荒野(⑴00(0とかで。それ って、すごくナイスでさ……特に、ボドミン,ムアとか、 そこらじゆうに遗跡があるから」 參行ってみて発見したこととか、何かヴァイブレーシヨ ンを感じたりはした? 「勿論!」 春勿論、なの? 「もっちろん!(笑)。でも、ホン卜そうなんだ。特に一人 きりだと……。僕が定期的に行く場所がニつほどあるん だけどね。うん、ひとつは多分、防壁みたいな場所なん だけど、一日中そこで過ごせるくらい、すごい場所でさ。 渓谷の一番上にあって、雪が渓谷を流れていくのが見え て。一日そこにいて、文字通り、一人も他の人を目にし ないんだ。まったく、誰も視界に入ってこない。で、も う一つは石で出来た壁みたいなところで。僕はあそこっ て、2000年前の城だったんじやないか、って気がする んだ。わかんないけど。うん、そういう場所で何かを見 たりするわけじやないけど、勿論、感じるよ」 參俺も最近ね、とにかく太古のものとかを見たがるって いう、変な傾向があるんだけど(笑)。多分、それって、 ルーッ探しとは別だと思うんだよね。自分でも何なのか わかんないんだけど。 「うん。僕が行く場所って、ほんとに古いんだ。知ってる かな?イギリスの教会や聖堂のほとんどは、異教徒が 儀礼を行ってた場所に建てられた、って説があるんだよ。 で、その上に何も建てられてない、まだ手付かずのそう いう場所に出くわすと、ほんとにすごく……。そう、僕 が知ってる中で最高に強い、パワフルな場所は、グラス トンべリー.卜一ルだな(氺アーサー王の墓があったア ヴァロン島の場所だという説がある)」 鲁グラストンベリ一に行った時に、僕も登った。 「あそこってほんと、クソ恐ろしい場所でさ。いや、つま り、登るにつれ、肌でそれを感じるんだ。そんなにナイ スなもんじやない。確実に、何か気持ち悪いものがある ね。そう、あれとストーンヘンジが、異教の中心地なん だよね。僕の友達が、グラストンベリー,トールのてっ べんで異教の結婚式をやったんだ」 「僕なんて登るだけでも怖いのに(笑)」 籲でも、そういう異教的なものに惹かれる、っていうの は何なんだろう? 「多分、そういうのに魅了されるのって……突然、他の 人間が、“死を超えようとした"一その努力の跡にぶつ かるからじやないかな。彼らはどうすれば死を超越出来 るかを追求した。常に、行き着く先はそこなんだ。昔の 文明や文化について本を読んだりすると、誰もが必死で たどり着こうとしてるのは、“死を超えるこど’なんだよ。 僕が結局、最後にいつも思うのは、『この場所は昔、城 だったんじやないかな』みたいなこと。勿論、誰にもわ からないし、完璧に謎なんだけど……でも、僕が見ると、 城に見える。で、そういう場所に行くと、基本的に、誰 もが同じことをやろうとしてた気がするんだ。彼らは死 を超え、死をだまそうとしてた。必死で知識をためこん で、死をごまかしてしまおうとするプロセスだったんだ よ。あ、僕、2日前に、やっぱりそういう本を読んでて。 異教とか、そういうものに遭遇する度に、それが認識出 来るんだよね」 參ちょっと話はズレるかもしれないけど、日本で育つと、 まず最初に学ぶ世界の歴史っていうと、だいたい中国の 歴史なんだよね。で、中国って、とにかく覇権を握る民 族やそれを裏から支えている宗教がころころ変わってい くんだけど、でも、“ピープル”と呼ばれる人達は、常に 虐げられて、悲惨で一。でも、そういう悲惨さは当た り前のものとして、やりすごそうする部分がどこかにあ って。 「ああ、わかる。中国人って死を恐れてないんだよね。 殺す時は、とことん殺す。だろ?ためらいもせず、大 勢の人達を殺すんだ。ただ、僕にとって興味深いのは… …。うん、文化とか、歴史について読んでた時に、その 記述に出くわしたんだけど。中国人にはあるアティテュ 一ドがあって一つまり、村っていう単位、共同体がす ごく強固だから、そこには国全体として組織化されたシ ステムが介在しないんだ、って。中国には。例えば、文 大革命みたいなひどいことが起きると、人々はそれを どうしようもないこと、天気や天災みたいなものとして 扱う。自分達が何らかの形で、そのプロセスに関わった とは考えずにね。それって、僕みたいなイギリス人には なかなか呑み込めない、マッドで奇妙な考え方でさ。だ って、ものすごい暴力と結び付いてるんだよ?それを 『大したことじやない』なんて、考えるだなんて一リ 參うん。でも、実際、日本にも実は、そういうところが 多分にあって。所謂“お上’’っていう言い方をするんだ けど、指導者がどんな人間に変わったとしても、自分達 の生活はまったく変わらないっていう諦念がずっと続い てるんだ。ま、諦念なのか、むしろ逆に楽天的で、した たかなのかは、よくわかんないけど。 「うん。そう、今の話とは関係ないかもしれないけど、先 週、日本の首相が……何て名前だつけ?」 籲小泉。 「そう。彼、イラクに派兵する法案を謙会に通したんだ よね?」 參うん。 「でも、野党はそれに猛反対してて。僕、謙会のテープ ルに人が立ったり、大騒ぎになったりしたって記事を読 んだんだ。でも、その最後に、『これは全部あらかじめ 筋書きが害かれた芝居である』って書いてあってさ! 『ふへ?』って感じだった(笑)」 籲はいはいはい。 「全部、「まあ、反対するふりをした方が見栄えがいいだ ろう』みたいなことなんだ、って。あれはほんと、イカ レてた。でも……イギリスだって、それと全然違うって わけじゃないからね。うん、さっき君が言ったみたいに、 日本の政治システムは昔の階級制度と今でも関連してる のかもしれない。イギリスの政治システムもそういう感 じになってるから。みんな、(政治に)興味を失っちゃ ったんだよ。多分、僕らは人々が直接、政治に関わって いた時期を通過して、再びひどい時期に入ったんだと思 う。うん。イギリスでは……なんか、関係ない話をして るな。……いや、関係ある!わかった。イギリスで今、 騒ぎになってるの、知ってる?う一ん……やっぱり関 係ないな。この話は後でするよ。今、話すと全然関係な い方に行っちゃうから」 參(笑)いやいやいや、聞かせてよ。 「オッケー。じゃあ、聞いてね(比㊀汝II011^ !(笑)。 これ、ノアがしょっちゅう言うんだ。『チェック,イッ 卜.アウト、パパ!』って(笑)。まだ2歲半なのに」 籲へ一(笑)。 「まあ、とにかく(笑)。そう、日80のレディオ4が、政 治番組を放送してるんだ。それって、僕がずっと聴いて た番組で……ホン卜ず一っと聴いてて、(『ヘイル.ト ゥ.ザ.シーフ』の)レコードの歌詞を全部そこから拾 った番組。9.11の後とか、アフガニスタンへの攻撃が続 いてる間、僕はそれをずっと聴いてた。その番組はイラ ク戦争が始まる前から政府を糾弾してたし、政府が戦争 に向けて嘘の理由をでっち上げたことが明るみに出る前 から、非難してた。でも、それって……君がさっき話し てたことと関連させると、政治システム全体が、その番 組が非難するのをわざと放っておいたんだよね」 春なるほど。 「当時、『政府は嘘をついてる』って言ってたのは、唯一、 8日0だけだった。で、今になって政府は880を切り捨 てようとしてる。880って、受信料で運営されてるか ら。イギリス国民が受信料を払ってるから、自立した局 とされてる。でも、今、労働党は88(3が批判してるこ とに、ものすごく腹をたててるんだ。みんなもう、(政府 が嘘をでっち上げたことを)知ってるし、実際、連中は やったんだよ!で、基本的に、日80が今や反対勢力に なった。今じや、政府システム全体がひとつの階級にな 54 81100261^039 ってしまったからね。それにみんな、政治を見せ物、ス ボーツみたいに眺めてるだけで。とにかく、今、政府は 日日0を何とか切り捨てて、特にその政治番組の信頼性 を傷つけようとしてる。僕が熱心に聴いてて、すごく共 感してる番組をね。で、何故そんなことになるのかって、 それが唯一の反対勢力だからさ!その番組って、『ブッ シユは大統領選をだまし取った』っていうストーリ一を、 唯一、初めて放送した番組なんだ。イラク戦争が起きて る間から、誰もそんなこと首う前に、『これは全然根拠 がない戦争だ』って言ってた番組なんだよ。で、今政府 はそれを潰そうとしてる。怖いのは……。ケリ一博士の 話は知ってる?」 參ああ、知ってる。 「その男がその番組、「トウデイ』に、(政府が嘘の根拠 をでっち上げたという)情報を提供したんだけど、彼が 自殺したんだよね。あれが起きた時はもう、『これでブレ ア政権もお終いだな』って感じだった。ブレアはそれが 起きた日、東京にいただろ?ほんのしばらくの間、ほ とんど、『ついに奴を引きずり下ろせる』って感じだった んだけど……。でも、今は基本的に調査が進んでて、政 府の方は880を攻擊してる。『彼が自殺したのは880の せいだ』って。でも、その男の名前を明らかにするのを 選んだのは、政府なんだ!『あのストーリ一の情報源は ケリー博士だった』つて言った。で、彼は追い詰められ て自殺したんだよ。レディオ4に裏切られたからじやな く、政府に裏切られたから。でも政府はレディオ4のせ いにしようとしてて……ひどい話さ!政府に負わされた 重荷に耐えかねて、人が一人自殺したんだから。だろ? 基本的に、政府の顔を立てるために人が死んだ。それで ,…”わかんない。もう、冗談にもならなくなったんだ。 政府は、誰もやりたくもなかった戦争に人々を引き込ん だ。で、国で唯一インディペンデン卜なニュース番組が、 その戦争の正統性を問題にした。そうしたら、その情報 源が自殺して、政府はそれをインディペンデントなメデ ィァのせいにしてるんだ。ほんと(笑)、『一体どうなっ てるんだ?』ってこと。そんなの……民主主義でもなん でもない。で、今じゃ日本までイラクに派兵しようとし てるんだ!ね、何で?何でそんなことになっちゃって るの?(笑)。ブッシュのご機嫌とり?きっとそうなん だろうな。人道的な見地とか、そんなんじゃないよね?」 鲁勿論、人道的な見地なんかじゃない。ただ、多分、日 本には、“国”という単位に対して、なんか勘違いした 信頼があるような気がするんだよね。わかんない。 「だったら、何で野党は、わざわざ「自分達は反対して る』ってふりをしなきゃいけない、って思ってるの?」 參まあ、元々同じ党から出てきてる連中だからね。 「うん、それも同じだな。だって、イギリスの保守党が 今やってることって……『トウデイ』の番組が、『今こん なことが起きてるって、知ってましたか?』ってコメン 卜を求めた時だけ、[それはひどい話だな!』って言うん だよね(笑)。それだけ。でも、そっから先には進めよう ともしない」 參うん、でも、日本には、政党的に民主主義はないよ。 共産党が唯一の野党だったりするからね。 「じゃあ、ほんとに問題じやん!I」 參でも、“ピープル”もずるくてさ。要するに、全部“お 上”に尻も拭いてほしいし、全部ッケも払ってほしいと 思ってるところは確実にあるんだよ。自分達が資任を持 とう、みたいな感じはない。その感じが、日本人でいて 一番ィヤなことなんだけど、実際そう思う。 「でも、それって、本当に難しいことなんだよね。貴任 を持つことを理解するのは、ホン卜に、ホン卜に、ホン 卜に難しい。ものすごいエネルギーを必要とするんだ。 チョムスキーも、同じことを言ってるんだけど。それこ そ、彼が講演の最後に言ってたことなんだ」 ここで、車が佃のロケ場所に到著.現場に待機してい たフォトグラファー、烏巣佑有子さんによる描彩開始。 もともとが不思嫌な場所なのに、そこをィギリスの白人 が歩いていると、さらに変。途中、辺りの家屋の壁に貼 ってあるポスターを指さして、「これ、誰?」とトム. 「これが共産党の維員で、あれが自民党の嫌具。どっち

511111111619 5011^ 2003 III 701*^0 ~ 5111143^ 3 #1119闢5意 が悪そうに見える?」と訊ねると、「どっちも」。その後、 近くの中華料理屋でブレイク。そこでは主にファッショ ン談義。「日本の若者向けのファッションの70ゲ0は、ベ ~シング-エイブが作ってるってホン卜?」とトム。い や、さすがにそんなことはないって(笑)。そこで、今 回の彼のパワー,ショッピングの、強い味方になってく れそうな秘密兵器、ロ 6けからプリ ントした、東京のショップマップを見せてもらうことに。 籲どれ、見せて。 「ほら、これこれ!へへへ、買い物は、オーガナイズし てなきゃね!これは特に、店の紹介が最高に面白いんだ。 笑っちゃうんだよね。え一っと、例えば……。オッケー、 これだ!あ、でも、これは店の名前が害いてないな。 まあ、とにかく読むね。『この店は完璧に隠れてる。ほと んど目立たないビルの3階にあって、ほとんど何のサイ ンも出てないから。でも、スーハ〃一フューチャーのおか げで見つけられたよ!商品は帽子が三つ、パー力が10 枚、シャツが一ラック分だけ。サービスは誰もいないみ たいなもの』。ふむ、もっと面白いのがあったんだけどな ……(また、探している)。ね、代官山って、かなりよ さそうだよね?代官山って、どこの近く?」 籲渋谷から、わりとすぐ。 「ォッケー」 春でも、代官山はかなり変わったよ。中目黒とかは? 「うん、どっかにあると思うんだけど」 鲁今、面白い店はそっちの方かも。 「それって場所の名前?」 籲そう。 「ふむ、マップを手に入れなきゃ(笑)」 參コーネリアスが住んでるところ。 「へえ、うらやましいな」 參さっき言ってたコズミック.ワンダ一は、青山学院の 裏手にあるよ。 「うん、青山の地図は持ってる!」 參(笑)え一っと、この地図の外れ。この辺り。 「くそ、この地図、役に立たないな!オッケー。渋谷に 近いんだね」 着そう。で、スヌーザ一のオフイスはこのへん。 「グッチの近く?ルイ,ヴイトンもあるじゃん!!」 春ええ(笑)。 「へえ一(笑しごめんごめん。じゃ、始めよっか」 鲁何の話だっけ?チョムスキーだ。 「あ、くそっ(笑)。そう…:"僕にドキュメンタリーのヴ イデオが送られてきたんだ。アイルランドの撮影陣がべ ネズエラに行って、ベネズエラ大統領のチャベスについ てのドキュメンタリーを撮ろうとしたんだよ(氺昨年4 月、ベネズエラではウゴ,チャベス大統領を失脚させる クーデターが起きたが、結局、失敗。三日後にはチャべ スが大統領に復帰。だが、米国はクーデターを歓迎する コメントを発表していた)0最初はただ、チャベスの人 としてのプロフィールを描くドキュメンタリーを撮るつ もりだったみたいなんだ。でも、滞在中にあのクーデタ 一が起きて、チャベスが失脚させられたんだ。でもすぐ に復帰して……ほんと、ものすごいドキュメンタリーな んだよ。彼は基本的に、貧乏な人達に支持されて選ばれ た大統領でさ。公約は、ベネズエラの富の再分配だった。 ベネズエラって、すごく豊かな国なんだ。アメリカに原 油を供給している第四位の国だったんじゃないかな。だ から、チャベスが権力を握った時、エリート層はすごく 不安になって、彼を引きずり下ろす理由を探し始めた。 そして、彼の方は、『原油はすべて自分でコントロール する、すべての会社を政府が掌握する』って宣言したん だ。富を再分配するためにね。で、エリート層の指導者 達は、すぐさまワシントンに飛んで、その二日後にチャ ベスがクーデターで失脚させられたんだ。でも、チャべ スはすぐに復帰して一一^だって、ベネズエラ中の人達が ストリー卜に出ていって、彼を復帰させることを要求し たんだよ!ほんと、見てて素晴らしく鼓舞されるドキュ メンタリーでさ。何よりクールなのは……大統領になる と同時に、チャベスがやったことって一一すごくフィデ 口-カス卜口っいことでもあるんだけど一一新聞の屋 台とか、小さな屋台に金を払って、崮中でチラシを配ら せたんだ。人々に、国民として持ってる権利を知らせる チラシをね!そう、蒹法によって、誰にでも表現の自由 の権利があること、国の政治に参加する権利があること を知らせたんだ。そうすれば、人々が『自分も関わって いる』って感じるのを、彼は知ってたんだよ!もし自分 がエリートに失脚させられそうになったら、国民がみん な街頭デモに繰り出すって。そして、実際にそうなった んだ!うまくいったんだよ!すごい話だろ?だからこ そ、チャベスは今も大統領なんだ。エリート達はもう彼 に触れられないし、アメリカも彼をどうにも出来ない。 変な話っていうか、クレイジーなんだけどね。だろ? 僕ら、さっき、『もう誰も自分が政治に関わっていると は感じていない』って話してたよね?でも、チャベス は意図的に、それを逆向きにしてみせたんだ!『自分は 関わっている』って、全員が感じるように持っていった。 ものすごくクレバーだよね」 籲なるほどなぁ。 「それに、そのドキュメンタリーって、…ドがどんなに腐 敗してるかってことを、チャベスが延々非難するところ から始まるんだ(笑)。ね、ホント、ブリリアントだろ? だって、一国の指導者たるもの、今じゃIVドと関係を持 たずにはやっていけない。なのに彼は、いきなりこんな 風にプチ上げてみせたんだ、『IVドは腐りきってる!ア メリカのヘゲモニーを維持するための道具に過ぎない!』 ってね。もうなんか、「うわ、一体どうなってる?』みた いな感じ(笑)。すっごくクールなんだよ」 參へ一、見たいな、それ。 「でも、そのドキュメンタリーは誰の目にも触れてないん だ。だって、公開する人がいないからね。で、僕のとこ ろにコピーが送られてきた。誰も触れたがらない内容だ から」 鲁うん。まあ、大体そういうものは今、メディアでは公 表出来ないよね(笑)。 「うん。ベネズエラには今、8局も、私的に支配されてる IVチャンネルがあるんだよ。しかも、全部、エリート層 が経営してて。あと、一局だけ国営放送局がある。そう なるともう、絶対に(そのドキュメンタリーが放映され る)チャンスはないよね(笑)。丁Vで放映される見込み はない」 鲁なるほどね。そういうことって、あらゆる面で起きて るよね。本当のことは、大抵、周到に隠されてる。この 間、〈フジ.ロック〉に行ってきたじやない?その会場 って、そもそもはでかいゼネコンが作った場所なんだけ ど、まるで箱庭みたいで、すっごいきれいな場所なの。 「ふぅん」 鲁っていうか、実際は、山を刳り貫いて作ったスキー. リゾートなんだけど。ま、見事な自然破壊だね。ただ、 そういうことを、会場にいる人達は、全然知らないって いうか、ほとんど気にかけない。 「でも、〈サマーソニック〉だって、スタジアムで開かれ るんだよね?」 春そう。海を埋め立てた、その上にある(苦笑)。 「それだって良くない。ま、なんでもいいけどさ」 春あと、〈ロック.イン.ジャパン〉っていう、日本のア 一ティストしか出演しないフェスがあるんだけど。 「ロック.イン,ジャパン?それ、何週間もかかっただ ろ9な」’ 籲何が? 「いや、その名前を思い付くのに何週間もかかっただろ うな、ってこと(笑)」 鲁(笑)そのフェスは、数年前に、放射能漏れ事故を起 こした原発のすぐ近くで開かれてるんだよね。 「原発?うわ!グレイ卜!絶対、そこでセックスしち やだめだね(笑)」 春そのせいもあって、村おこしのために、地元がすごく 協力的になってるんだろうけど。まあ、そうじやなきや、 この狭い日本に、そんな広い場所があるわけないんだけ ど。でも、どう思う? “フェスティヴァル”なんて名 前を付けて、わざわざ人が集まったりしようとする その行為そのものには、古代から何かしら繫がったもの があると思う?それとも、そうした過去の祝祭からは 分断された、すごく産業的なものだと思う? 「うん……まあ、僕らにとっては……僕らは、ずっと長い 間、フェスには関わりたくなかった。今、君が言ったよ うな理由でね。でも、今年は……。僕はただ、本当にト ライしてみたかったんだよ。なんか、自分達が架空のド ラゴンから逃げ回ってるようなところにまで来ちやって 56 81100261,#039 や 嫌 亨 得 費 物 4, 3圓II議 木 たから。僕らがただ、フェスをやるのを怖がってるよう な感じになってたんだ。なんていうか、つまり……うん、 『0ドコンピューター』の頃から、僕ら、すごく巨大なギ グをやり始めただろ?それがホン卜に、僕の頭をグチ ャグチャに捅き回したんだ。だって、ものすごい数の人 達が僕の頭の中に入ってきて、ステージから降りても、 何をしても、そこから出ていってくれなかった。でもそ れは、彼らのせいだとかそういうんじや全然なくて、僕 がただイカレていってただけ(笑)。だから……うん、実 際、僕は、そういうビッグなことをやる、って考え自体 はかなり好きなんだよ。ただ単に、実験としてね。でも、 それを僕らがやり続けるとは思わない。まあ、もしかし たらやるかもしれないけど。わかんないや。だって、ほ んと、(巨大なライヴには)いい面と悪い面があるから。 ものすごく大勢の人達と一緒にいて、何かが本当にうま くいくと、本当に素晴らしいことだし。でも、うまくい かないと……わかるよね?その場で何も起きず、何の 空気も生まれないと、本当にまったく何もなくなるんだ! でも、一つのことが突然動き出すと、フヱスって、最高 に素晴らしいんだよね。この間、フランスでフェスをや ったんだけど、冗談のつもりで、僕、最初にフランス国 歌を歌い始めたんだよ。すっごくひどい調子で……こん な風に(うなり声で歌い始める)。みんなもう、『は?』 って感じでさ」 參(笑)。 「そしたら、コリンが、ドウンドウン、って(“ナシヨナ ル.アンセム”のイントロのベースを)弾き始めて。そ したら、会場中、クソ盛り上がった!もう、ほんっとに。 あれだけ大勢の人達が、突然、一斉に『ウォーッ!!』っ てなると……あれはやっぱり、かなりすごいよね」 修へ一、いいなぁ。じゃあ、今年はそういった大きなフ ェス出演もありつつ、ここ数年、地中海の周辺の小さな 街でのツアーが恒例になりつつあるよね。そうしたいろ んな経験を積んだところで、観客の数とか、ヴェニュー の形一ある程度、理想的なライヴの形態を見つけつつ あるのかな。 (通訳)あと、観客のクオリティとか。 「(笑)観客のクオリティだって?!『うん、君達はクオ リティの高いオーディエンスだね!』みたいな」 (通訳)ごめん、言葉を間違えました。 「いいんだけど(笑)。で、他の時は、『君達はクオリティ が低いオーディエンスだねえ。申し訳ありませんが、こ れじやプレイ出来ません』とか言って(笑)」 參ははははは! 「うひゃひや!ごめんごめん。続けて」 參いや、とにかく今って、今までで一番いいライヴをや れるポイントをつかんでるんじやないの、って話。 「う一ん……。今のところはね。ただ、唯一自分で気を 付けなきゃいけないこと、気を付けられることは、自分 がライヴに疲れたり、飽きたりしてないか、つてことな んだ。それが……すごく大きいんだよね。そのエネルギ ―が自分にないと、ひどい結果になるから」 鲁なるほどね。アルバムが出てからの、今回のいくつか のライヴでのセットリストを見たんだけど、基本的に去 年のツアーと同じじゃない?あれは、どう考えてそう なったの? 「うん。実際、それについては、話し合ったんだ。大阪 も東京も、多分、そのセットリス卜になると思う。理由 はまず、それで(大きなフェスをやると)すごくうまく いったし……ほんと、これで決まり、って感じ。でも、 この後は、また別のセットリストをやると思う。実際、 クル一が僕らのところに来てさ、『いい加減、だんだん面 倒臭くなってきて、おんなじセッ卜リストにしてるんだ ろ?』って言われたんだ(笑)。で、『違う違う!ただ、 同じことを考えてるんだよ!』って(笑)」 春でも、やっぱり次は、違うのも観たいけど。 「2週間前、10日前かな?ツアーに一旦、区切りがつい て、みんなで夜飲みに行ったんだ。で、全員一致で、 [そろそろ、(このセットリストを)またグチヤグチヤに する頃合いだな』ってことになった。確実に、退屈にな ってきてるから」 春うん、やっぱり「去年と同じだよね」って思ったりは するよね。 「うん、わかってるって!!(笑)。その通り」 參じゃあ、この後のアメリカ,ツアーでは変えるってこ と? 「うん。それは確実に変えていく。ただ勿論、そうなる と……。そういうことを完璧に変えちゃうと、多分、最 初の3、4回のライヴはひどいものになったりするんだよ ね。だから、そういうことをやっていくためには、結果 的に、最初の方のライヴはもう全然ダメになっちゃうん だ。だって、みんな、理解出来ないからね。『何だこり ゃ?』って。だから、ある意味、そのライヴに来てくれ る人達にはフェアじゃないんだけど……いや、(アメリ 力,ツアー初回の)ボストンの観客にそれを負わせるの はまあ、フェアだな。でも、日本のフェスでやるのはフ ェアじゃないと思ってる(笑)」 鲁(笑)じゃあ、〈サマーソニック〉が終わった、その次 は、その新しいセットリストで、日本でやるっていうの は?その可能性はない? 「わかんない。ファック!わかんないよ!」 籲やってくれればいいのに。 「ホン卜わかんないんだって!だって……。うん、フイ ルとエドは、オーストラリアとニュージーランドに行き たがってるんだ。そうなると、日本は途中だし」 參じゃあ、そこで、全然違うセットリストを(笑)。 「わかったよ!もう。じゃあ、君なら、どの曲から始め る?」 籲う〜ん……。 「ほら!わかんないだろ?僕はよく、無作為にセツトリ ストを作る機械が欲しくなるんだ。直前にプリントアウ 卜したやつを持って、ステージに上がって、それを見た 途端、[うわ、マジかよ?!』って感じで(笑)。ただそう やると、問題は……。ほら、セットリストの中で曲ごと のセクションを作って、何かを生み出していくのってす ごく楽しいんだよね。でも、そんな風に無作為にやろう とすると、それが出来なくなる。それに曲のつながりを 間違えちゃうと、クソひどいことになったりもするし。 当たり前だけど」 鲁だよね。何かこう、初っぱなのセクションを、今まで なかったようなものにするのが一番なんだろうね。 「うん。もうひとつあったのが、何度か僕らがやってみた ことなんだけど、10曲とかやって、その後、休憩するん だ。それから、また10曲やって、休憩。でも、そうする と、みんな、『こりゃ一体どうなってるんだ?』って感じ になっちゃって。突然、曲が終わったら、僕が「じゃ、 これから5分間休憩します!サンクス!またすぐ後で!』 って言ってさ(笑)。そしたら、『は?』って感じになっ ちゃった。うまくいかなったんだ。ほんと、うまくいっ て欲しかったんだけどね。休憩になると、みんなロビー に出ていくんだ。舞台みたいに(笑)。で、また戻ってき て一一そうなれば、よかったんだけど。でも、そううま くは、いかなかった」 籲なるほど。 「で、僕がずっと気に入ってるアイデアは、何か、すっご くスローな曲で始めたりするんだ。それか、まだみんな が知らない曲。すっごくダウンな曲とか、難しい曲で始 めて……難しいのを、全部初っぱなに持ってくるんだよ。 それが僕としてはやりたいんだけど,タフなんだよね。 それに、また(ライヴで)やり始めた方がいい曲が沢山 あるし。前からいじってるんだけど、ここしばらくプレ イしてないような曲。っていうのも、フェスをやってる 間はそういう曲がやれないんだ。サウンドチIックが出 来ないから。『あ、今日、あれやろう!』みたいな曲がい くつかあるんだけど、そんなこと言ったらクル一に殺さ れちゃう(笑)。突然、3力月ずっとケースの一番底にし まってあった楽器を取り出したりしなきゃいけなくなる からね。それがちゃんと使えるかどうかもわからないの に。ラん、フェスのマイナス面はそこかも」 癱なるほどね。でも、その、ここしばらくブレイしてな いような曲って、例えば? 「うん。例えば、‘‘モーション.ピクチャーレサウンド 卜ラック"とか」 參うわ!!絶対にやろうよ、それ日本で(笑)。あ、ホテ ルに着いちゃった一。 というわけで、佃観光を兼ねた、見事にレイドバック した、車中での雑談でした。次号では,〈サマーソニッ ク〉後日談として、コリンとジョニーのインタヴューを お届けしたいと思いますので、そちらもお楽しみに0 81100261^039 57